ほら、こんなにも面白い。
みんな小説を読もうよ。
ということでね、今回も無事開催されましたよ『第四回小説好きのための読書会』!! ワー、パチパチィ!
リピーター続出、新規参加者急増の第四回!
レポートはもはやお馴染みコウイチが書かせていただきます。
今回の開催地は、西荻窪駅から程近い? 古民家カフェ『松庵文庫』さんの2階をお借りしました。閑静な住宅街にひっそりとたたずむ建物は、戦前を彷彿とさせる古き良き日本家屋のようで、日本人なら誰しもがどこか懐かしさを覚える素敵な外観をしていました。店内もオシャレアイテムが並び、雰囲気素敵! お店の方の対応も素晴らしく、ぜひまた使わせて頂きたいなと思っております。
っつてね、なんか某地図アプリのレビューみたいになっちゃったけど、でもホントにステキでした。
ここまでですでに前回までとの違いに気づかれましたかね? そうです!
「会議室じゃない!!」
成長ですね……成長している小説が好き!の会です。感涙するまである。そもそも第一回、屋根すらなかった(あれはあれで良し)ですからねぇ、開催地の雰囲気は大事だってつくづく実感しましたよねぇ。
あとは西荻窪の街並みの良さですね。
正直、今回初めて「西荻窪駅」で下車したのですが、こんなにもお洒落でレトロな雰囲気の街だったとは思いもしなかったですよ、はい。個性的であり、こだわりのあるカフェやセレクトショップのようなお店がたくさんありました。
もうこんなの女子会にもってこいだわ~、インスタ女子の隠れスポットだわ~、俺もいつか友達誘って女子会しようかしら~、それでみんなで写真いっぱい撮ってSNOWとかで加工したりして、あとはお洒落っぽいカフェのティーセット撮って、なんか知らんけど「可愛い~!」ってコメント付けたりして、インスタアップして「いいね!」いっぱいもらおーっと。せーのっ、インスタ映え~。ホント映えるわぁ。
(あくまでレポート用の感想です、記者自身の特殊な趣味趣向など一切関係ありますん)
そしてっ、小説が好き!の会の『成長』はまだまだこれからです。
今回の参加人数……な、な、なんと、20人!!
え、どうしたん? 大丈夫なんか、これ、順調すぎて怖いですやん……と、エセ関西弁が出てしまうくらいには動揺してしまいました。
駅にて『小説が好き!の会』とかかれた画用紙を持って参加者がくるのを待っていたんですが、どんどん人数が増えていって、途中からちょっと怖かったですもん(主にほぼ女性しか来なかったため)。いや、男性きて!!
なぜか男性参加者のほとんどが現地集合してるという。おかげで駅から会場までの移動中、夢のハーレム状態でした。ありがとうございます。
それにしても20人も集まると圧巻でしたね。ずっとふわふわっとしたイベントのはずだったものが、途端に壮大なプロジェクトに参加しているような気持ちが湧いてきました。まあ、会の内容としてはふわふわイベント継続! って感じで、地方のマスコットキャラよりもゆるふわしてましたけども。
会の流れとしては、前回、前々回同様、自己紹介から始まり、それぞれ参加者の小説紹介という流れ。ただし今回は人数が多かったので、自己紹介後に3グループに別れることにしました。
自己紹介では毎回恒例の「今の率直な気持ち」を言ってもらうことに。「緊張している」「楽しみ」と、みなさんのドキドキワクワクが伝わってきます。あとここだけの話「はやく小説の話がしたい!」というのを隠しきれてない人が居ましたよ。落ち着いて! 時間たくさんあるから!
3グループに別れてからも改めて軽く自己紹介。名前と「2017年〇〇だった話」をしました、2017年の振り返ってみようということですね。みなさん今年一年いろいろあったそうで、なかには「親不知を抜いたよ」って方も、俺も抜いたことあるんですけど、結構痛かった記憶があるなぁ。あとは「今日のM1楽しみ」って方もいましたねぇ、俺も楽しみ! 彼はリアタイで観たのかなぁ。
俺の2017年〇〇な話は……そうですねぇ。やっぱりこの『小説が好き!の会』に出会えたことですね♪
今の俺的にポイント高い!
さてさて、ついにメインイベント小説の紹介です。みなさんお待ちかねのノベトーーク! しかしグループ分けをしたということもあって、俺が1グループを任せられてしまいました。だ、大丈夫かしら? 髪の毛サラサラでもないし……。
心配しつつ始まったノベトーーク! 不慣れな俺の進行だったにも関わらず、みなさん優しくて、楽しませて頂きました。内容としても各グループ相当な盛り上がりをみせたんじゃないでしょうか。終了後には回し役のくせに俺が一番熱く語ってた説が流れるほどに……俺のグループだった方、オフホワイトな進行で申し訳ない。
しかしホントに面白かったですよねー、面白かったですよね?
様々なジャンルはもちろん、有名無名と作家もバラバラ。こんな機会もなければ絶対に知らなかったであろう作品も、名前は聞いたことあったけど手が出ていなかった作品も、実際にそれを読んだ人が情熱的に語ってくれるんだもの。読みたくならないわけがない!
今回もみなさんが熱く語ってくれた魂の一冊、文末にて一部紹介させていただきます。お楽しみに!
最後に今回の感想を一人づつ言ってもらいました。嬉しい感想が沢山ありましたね。
「知らない作品を知れた!」「紹介されるジャンルが豊富!」「みんな作家さんに詳しい!」「作風の好みでおすすめをしてくれた!」「気になっていた作家さんが出てきた!」「熱く語っているのを聞くだけでも面白い!」「たとえ話が脱線してしまっても面白い!」などなど、心ゆくまで楽しめて頂けたのではないでしょうか?
ノベトーーク! 年末2時間スペシャルで、小説について語り尽くしましたがどうやら足りないようです。たっぷり時間はあったはずなんだけどなぁ。
今までこんなに小説について語れる場所がなかったんですかね? まるで水を得た魚、わが世の春を謳歌するかの如くお話が止まらないので、今回ももはや恒例の二次会を駅前のジョナサンにて行いました。急に大勢で押し掛けてしまって「ジョナサンさん」ごめんなさい。緑黄色野菜のドリアおいしかったです!
そこからまた二時間近く、ノベトーーク!は続くのでした。めでたし、めでたし。
今回参加してくださったみなさま有り難うございました!
今回参加できなかった方、また「この会のこと気にはなってるんだけど」という方にも、雰囲気だけでも伝えることができましたでしょうか? レポートを読んで下さるだけでも嬉しいです。今後も続々と企画進行中ですので、お時間が合えば参加してみて下さい!
ここからは様々な予告、報告をしていきます!
『小説が好き!の会、オリジナル栞配布!』
第四回参加の方にはお渡ししたのですが、なんとオリジナルの栞を作ってしまいました。主催者のダイチさんと「栞とか作れたらいいっすねー」とか話してたら、次の日LINEに「栞つくったよ」との報告が!? 仕事早すぎない?
デザインは、我らがマスコット『ゆずくん(ミヌエット猫 ♂ 1歳)』に顔出しOKを頂いて、そのあられもない姿をバッチリ載させて頂きました。ギャラの方はダイチさんからお願いします。
今後も新デザインの栞を作るべく、水面下で密かに濃密に企画進行中なので、会員のみなさんお楽しみに! また、都内のブックカフェや図書館など置いて頂けるところがないか交渉もしています!
置けるとこ知ってるよ! って方は教えてください!
そしてそして~、次がビッグイベント!!
『新春到来! 小説好きのための読書会! ブック・オブ・ザ・イヤー開幕!!』
小説好きによる小説好きのための祭典です!
開催日は2018年、1月20日土曜日昼。
新年に集まり、前年、つまり2017年で読んだ小説で一番面白かったものを持ち合うイベントとなっております。また同じ小説好きで集まっての新年会もかねていて、規模的にも過去最大級のイベントにしたいので、すでに何回か参加したことのある方はもちろん、まだ参加してない方もどしどし参加しちゃってください!
一年の始まりの良い機会に思いっきり小説について語らいましょう!!
『新企画! 第一回小説交換会開催決定!』
これまでの小説好きのための読書会は、あくまで読書会であり、本の交換などはなかったのですが今回はあえてやってみようという試みです。お正月休みに読む小説をGETしちゃいましょう!
日にちは12月30日昼、詳細は後日petaixやFacebook、Twitterで報告があると思います。
Twitter、Facebook、petaixなどで随時情報を流していく予定なのでチェックしてみてください! ホームページも随時更新しますのでチェックお忘れなく!
みなさんが紹介してくれた小説たち!
・「風が強く吹いている」 三浦 しおん
・「タルト・タタンの夢」 近藤 史恵
・「キャロル」 パトロシア・ハイスミス
・「ロマンシェ」 原田 マハ
・「ジェイン・オースティンの読書会」 カレン・ジョイ・ファウラー
・「すべての雲は銀の…」 村山 由佳
・「オーデュボンの祈り」 伊坂 幸太郎
・「絶対正義」 秋吉 理香子
・「家守綺譚」 梨木 香歩
・「烏に単は似合わない」 阿部 智里
・「星を継ぐもの」 ジェイムズ・P・ホーガン
・「恋文・私の叔父さん」 連城 三紀彦
・「たゆたえども沈まず」 原田 マハ
・「それからはスープのことばかり考えて暮らした」 吉田 篤弘
・「ナリン殿下への回想」 橘 外男
・「ツバキ文具店」 小川 糸
・「玩具修理者」 小林 泰三
・「ステップファザー・ステップ」 宮部 みゆき
・「幽霊たち」 ポール・オースター
・「烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ2」 阿部 智里
etc.
『先生とその座布団』
ノートパソコンを閉じると、ぐっと背を反らし伸びをする。長時間丸めていた背中にはみしみしと痛みが走ったが、彼の表情は穏やかなものだった。
もう冷めてしまったコーヒーを飲みきってしまうと、ノートパソコンをリュックにしまう。外はすっかり暗くなっていて、1、2時間ここに座っていたのだと気づかされる。
彼はとある読書会に参加していて、そのレポート係を引き受けていた。本日あったばかりの読書会のレポートを帰りに立ち寄ったカフェでつい先ほどまで書いていたのだった。
店を出ると、中央線の武蔵栄駅から櫻橋に向かう道を彼は、足早に歩いていった。
(今日も楽しかったなぁ、先生にも良い報告ができそうだ)
いつもならばコートのポケットに手をつっこみ、向かい風に身をすくめながら、ゆっくりと家を目指すのだが、いまは驚くほどに足取りが軽い。
(はやく帰ろう、ちょっと遅くなってしまった)
彼は今日あった読書会を思い出しては口元を緩めた。楽しかった記憶はもちろんだが、いままで知りえなかった小説をたくさん紹介して貰えることが嬉しかった。彼のなかでいま、読みたい小説が溢れ、充実している。先ほどのカフェですぐに読み初めてもよかったのだが、そうできない理由が「先生」の存在だった。
アパートの階段を登って玄関の扉を開けると、暗闇のなかに動く影があった。
「ただいま帰りました」
「遅い」
スニーカーを脱いで電気をつけると、不満気に見上げてくる茶トラの猫が玄関先まで出迎えにきてくれている。
「すみません、先生。先にレポートを書いてしまおうと思ってカフェに寄っていました」
「ふむ。それで、書けたのか?」
「はい、バッチリです」
猫を「先生」と呼ぶのもおかしな話だが、人語を解するこの「先生」は読書好きな彼よりもよほど読書家で、作家や業界についても明るかった。
年齢こそ約一歳と、人間でいえば二十歳そこらで彼と変わらぬ頃合いだったが、日がな一日中読書をして過ごす先生には言動にも貫禄がある。
彼は手洗いうがいを済ませると、部屋着に着替えラグに置かれた座布団に座る。先生はすぐに胡座を掻いている彼の足に乗り、座りのいい場所をみつけると、姿勢よく腰を落ち着けた。
先生がこの家にきたときから彼は先生の座布団になっている。しかも先生は彼を座布団と呼ぶのだから、この家でのパワーバランスは完全に先生に軍配があがるのだ。
「先生、お腹空いてないですか?」
「まだよい、それより座布団よ。はやくみせてみろ」
「みせる? ああ……」
彼のベッドの上には本が開いたまま置かれていた。前回の読書会ですすめられ買ってきた綿矢りさの「夢を与える」である。彼はまだ買っただけで手をつけていないため、先生が読んでいる途中のものだろう。
「今日教えて頂いたぶんはまだ買ってきてないんですよ。それに先生、まだ読みきってない小説があるじゃないですか」
「馬鹿もの、だからおまえは座布団なのだ」急に罵られてしまった。「わたしは読んでいる途中で他の小説に手を伸ばしたりなどせん。読みきる前に次々と小説を買ってきては積み本にしているのは座布団ではないか」
正論すぎて返すことばもなかった。彼は10冊以上も溜まってしまった積み本をみて申し訳なく思った。
「じゃあ、なにをみせろというんです?」
足の間に綺麗におさまった先生を見下ろして問う。
「座布団の書いたレポートだ」
先生は彼を見上げて答えた。
「え……」目が合い、先生が冗談をいっているのではないと解る、が。
「みるんですか?」
「駄目なのか? バッチリだといっていたではないか」
「いや、まあ、いいですけど……」
インターネット上で不特定多数の人々に自分の書いた文章を読まれるのには彼も慣れていたが、こんなに身近な、しかも彼以上に小説を理解している先生に読まれるということに、すこし焦りにも似た緊張をしてしまう。
先生は彼の気持ちなどどうでもよいとでもいいたげに、上体をひねり、背中をべろべろと嘗めあげ、毛並みをととのえていた。
彼の上でレポートを最後まで読み終えた先生は彼から飛び降り距離をとった。
「先生、どうかしましたか?」
「座布団よ、正気か?」
「えぇ!? そんなに変なところがありましたか?」
彼は慌ててレポートを読み返し始めた。だか正気を疑われるような文章はみあたらなかった。頭を傾げる彼をみて先生は呟くようにいう。
「いや、わたしが気づかなかっただけなのかもしれない」
「教えてください、どこがおかしかったですか?」
「違うのだ座布団、おまえのことを理解していなかったわたしが悪い」そういうと先生はさらに彼から距離をとった。
「最近は彼女の一人もつくらずにふらふらしていると思ったら、まさかメスに興味がなかったとはな」
「ちょっ、えぇ!? どうしてそうなるんですか!」
確かにちょっとそれっぽい描写もしたが、それはちょっと笑えるといいなと思ったからだ。女子会とかインスタとか、それがわからない先生じゃない。
「カッコ書きのところだって、笑いを誘うためのものですよ」
「解っている、だかそのあとがよくない」
「あと?」いわれてもう一度レポートを読み返す。
「集合場所に女性しかこないといっているところだ、最後の『男性きて!!』は前文の続きとして読むとあまりにもリアル感を孕んでいる」
「た、確かに……」
彼は無意識に書いてしまった自分の文面に恐怖するとともに、行間すら読み取ってしまう先生に対し、改めて敬意をいだいた。
この誤解が解け、先生が彼をこれまでどおり座布団として使うのは、また別の話である。
小説が好き!の会 【小説に限定した読書会】
小説について話したい、でも周りに小説について話せる人がいない。うまく話せる自信がない、それでも好きな小説について話したい。 そんな人たちのためのくつろぎの場所、それが「小説が好き!の会」です。 小説というのは音楽や映画と違って共有することが難しいかもしれません。だからこそゆっくりと時間をかけて、好きな小説を読んで感じた何かを、少しだけ誰かに話してみませんか? 誰かの感じた何かに触れてみませんか?
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