新年、明けましておめでとうございます!
今年も皆様がたくさんの小説と出会えることを、心より願っております。
また、知らない小説との出会いの場「小説が好き!の会」もさらなる発展を目指して邁進していきますので、今年もどうぞよろしくお願い致します。
「小説が好き!の会」実行委員会一同より
今年こそ 憎きアイツを 倒したい!
帰ってきたレポート係、コウイチです。
さてさて年末の番外編では主催のダイチさんに唯一のお仕事レポート係を奪われてしまっていたので、俺はゆるりと地元へ帰り、男だらけの初詣に出向いていたように思います。
おみくじを引くと「末吉」という、中途半端なもので、恋愛のところには「諦めなさい」と信じがたいことが書いてありました。おお神よ、新年そうそうにもう俺をお見捨てになられたのですか!
でも大丈夫! ここ日本は八百万の神様が揃っておられるステキなお国っ! たった一人の神様に見捨てられたからって、他に7999999人の神様がおられるのだ、誰かしら俺を救って下さる。なんならどなたか現実的に救ってくれてもいいですよ? 自分のことでさえ他力本願なのは親鸞譲り、どうも俺です。
他力本願がモットーの俺でもこの会は、なんだかんだ毎回参加してるんですよね。だって楽しいんだもの!
今回の開催地は秋葉原ぁ~!
日本一の電気街や、地下に住まうアイドル、オタクカルチャーの火付け役にもなった、日本が、いや世界中が注目するスポットです! 知名度は充分にあれど、俺はまだ1度しか行ったことがなかったので「これがアキバかぁ~」と田舎者のようにあたりをキョロキョロしていました。実際、田舎者なので許してください。
秋葉原駅から万世橋をてけてけ渡ってすぐのところに今回の会場「秋葉原BOOKS」さんがありました。
事前に内装の写真は見ていたのですが、実物はもっとオシャレで「ここは日本? 私は日本人?」状態になってしまい、呼吸をととのえ冷静になり、自分はド日本人だと思い出したところで、ようやく今日ここで読書会をするんだという現実を受け入れることができました(210%ぐらい盛りました)。
本当にステキな場所で、部屋中の本棚にインスタ映えまくりな古いお洒落洋書がずらりと並んでいて、思わず「せーのっ、インスタ映え~っ!」
ただ一つ残念なのが「おさわり禁止」のお店らしいのです。こんなに大胆に見せてるのにおさわりできないなんてっ、ちょんちょんすらできないなんてっ、ボクはなぜかムズムズしました……。
そんなお洒落でしかない「秋葉原BOOKS」さんに集まった参加者、なんと24人!! もちろん過去最多ですっ! これもお越しいただいた皆さんのおかげなんですよね。今回は読書会プラス新年会も合わせたビッグイベントだったので(お時間も長め)初参加の方もたくさんいらしてましたが、充分にお互いに好きな小説について語らえたのではないでしょうか。
会の流れは、集まった24人を4つのグループにわけてから、ダイチさんが事前に作成してきたパワーポイントで企画の概要を説明。そしてグループ内で自己紹介をし、読書会という流れ。自己紹介のときには「今の気持ち」と「今年やりたいこと」を発表!
今の気持ちでは、緊張しすぎて前日あまり眠れなかったという人もいたようで、しかし会の終盤になると「勇気を出して参加してみて良かった」と言ってくださいました。そうなんですよ、そういう会を目指してやってるんですよ! そういって頂くとホントに嬉しいです(涙)
参加人数とか初回に比べるとかなり多くなってきてますけど、内容としてはけっきょくゆるふわなままなんですよね。どうしようなんて悩んでいる方がいたら、とりあえず一度参加してみちゃってください。
今年やりたいことでは、小説をもっと読みたいって人が多かったですね。大人になると仕事などで小説を読む時間が減ってしまったりだとか、ビジネス書を手に取りがちだという人もいました。確かに小説を読むのって時間が掛かるんですよねぇ、複数冊続く大長編ともなるといつ読み終わるのかな? と不安になったりも……。
だけどそういう人にこそこの会には参加してほしい。俺も一番小説を読んでいた時期と比べるとだいぶ減ってきていたのですが、この会に参加して小説の面白さを共有することで、自然と自分の中で読みたいという欲が増して、読む冊数も増えてきました。そのぶん読んでみたい小説も増えてしまっているので、積ん読本はむしろ増え続けているのですが……。
自己紹介を終え、皆さんのハラハラやドキドキが入り交じるなか、今日も今日とてノベトーーク! スタート!
企画内容としては『ブック・オブ・ザ・イヤー』ということで、2017年に読んだ小説の中でナンバーワンの一冊を紹介するというものでした。
年間を通して100冊以上も読んでいる方もいて、その中から一冊を選ぶという苦悩ははかり知れません。うんうん、わかります。なにせ俺だって、これを持っていく! って決めたのは開催日の2日前でしたから(この企画をやると聞いてから1ヶ月以上も悩みました笑)。ってなわけでいつも以上に皆さんのこもりにこもった「これが好きだっ!」「これが面白いんだっ!」という情熱が感じられて、もうそげんこつ言われたら読まんわけにゃいかんじゃろ、とどこかしらの方言が出てしまうほどでした(九州地方)。
また、俺の勝手なイメージで敬遠していた作家の小説も、まだ俺がその作家の一面しか知らないだけなのだと気づかされたり。めちゃくちゃ自分の好みに合っているのに、ぜんぜん知らなかった小説を教えてもらえたりと、今回も実り豊か過ぎて収穫しきれないほどです。どこか年貢納めるところ知りませんか?
グループでの発表が終わると他のグループでどんな小説が紹介されたのかを見て回りました。そのなかには俺が持っていこうかと迷っていた小説もいくつかあったりして……でもなんと、今回の24人の持参した24冊は一冊も被ったものがなく驚きました。十人十色といいますが、二十四人二十四冊はなかなか面白いですよね。みんな違ってみんな良いってことですかね。
その後は立食形式の新年会、食事にドリンク、もちろんアルコールも! 限られた時間ではありますが、時間ぎりぎりまで楽しくノベトーークできました!
今日出会ったばかりの人と、こんなにも楽しくおしゃべりができるのは小説という共通の趣味があってこそ。小説様々、小説は偉大なり、これからも小説を読もうと心に決めました。
14時に始まった読書会も気がつけばもう17時、3時間ぶっ続けでノベトーークしまくり。こんなに小説だけで語ったの久しぶりだよ~、今日はもう大満足ぅ!! となって終われないのがこの会のもはやしきたりですね。二次会へGOです。
近くの居酒屋さんでさらに3時間! みっちりねっとり、小説から外れて映画や絵本まで。計6時間もおしゃべり倒してしまいました。ちなみに未だにわからないワードが俺の頭を離れないのですが「読書家のプロ」ってなに? 心当たりある人、次に読書会でお会いするとき教えてください。
改めて、今回参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。また、まだ未参加の皆様、レポートはかなりふざけてますけど(自覚はあるんです)読書会自体は別にふざけた会ではありません。真面目にゆるふわしてるアットホームな会なだけです。誤解しないでください。
月に一回(ぐらい)のペースでこれからも続けて行きたいと思っています。日にちは特に決まってません、主催者ダイチさんのお仕事の都合によります。まあこういうところがゆるふわでもあるわけですが。
また次回リピーターの方も初参加の方も楽しいノベトーークをしましょう!!
前回同様、後半には小説パートをご用意しております。内容はわたくしコウイチの敬愛する石川博品先生の「先生とそのお布団」をオマージュしたものとなっております。お時間ございましたら最後までお付き合いください。
ここからは予告、報告コーナーです!
『次回、読書会#6開催日は2月17日!!』
申し込みはpeatixからお願いします!
TwitterとかFacebookにも「小説が好き!の会」アカウントはありますのでフォローして情報をキャッチしてください。ホームページもたまには見てね!
『オリジナル栞、第二弾はやくも配布!!』
第四回の読書会にご参加頂いた方に初めて配ったオリジナル栞ですが、小説が好き!実行委員会が総力を挙げてグレートアップしたオリジナル栞を今回の参加者の皆様にお渡ししました。これから使うに相応しい、春をイメージした栞となっております。なんと印刷以外の、イラスト・デザインはすべて会員の手で自作しています(俺、ノータッチ)。いきなり1000枚を刷るという強気の姿勢を見せているので、もし置いてもいいよと言ってくださるお店や施設など、知っている方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
『番外編#2持ち込み企画水面下で成長中?』
恥ずかしながら、わたくしコウイチの持ち込み企画が少しずつ動き出そうとしています。まだ時間は掛かりますがお楽しみに。
先生とその座布団#2
アパートのドアを開けても先生の出迎えはなかった。べつに出迎えが欲しいと口に出していったことはないが、やはり欲しい。
読書会も終わり帰宅した彼は、うがい手洗いを済ませ部屋に入る。すると人語を解する猫である先生はベッドの上で開いた小説に視線を向けていた。
「ただいま帰りました」
「臭い」
「え? 僕がですか?」
帰ってきてそうそう、酷いことをいわれてしまったので両腕を交互ににおってみたが、べつに臭くはない。
「違う、酒のにおいだ。ザブトンの口からぷんぷんにおう」
「ああ、今日の読書会は新年会も兼ねていたので、アルコールも用意されていたんですよ。あまり飲んでいないはずですが……」
先生は前足で器用にページをめくりながらしっぽでぺしぺしとベッドを叩く。どうやらご立腹のようだ。
「臭い、なんとかならないのか?」
「なんとかといわれましても、飴でもなめてにおいをごまかしますか?」
「ザブトンはすでに猫の嗅覚をなめているようだ」
「うまい」
猫の嗅覚は人間のそれとくらべると数十万倍ともいわれているらしい、確かに酒臭いのは猫である先生にとってキツイかもしれない。
「なにかにおいの取れる方法ありますかねぇ?」
「息を止めてみてはどうだ?」
「……死ねと?」
「冗談だ」
先生の冗談はけっこう黒い。
酒の臭いはどうしようもないので、我慢してもらうしかない。他の部分で快適になって頂こう。
「先生、寒くはないですか?」
「寒い」
「ですよね」
彼は床に散らばった小説や小物をよけて部屋を横断し、寒いという先生のためと、自分のためにも暖房をつけた。
すると先生は立ち上がり「腹がへった。へったものといえば腹だ」と、よくわからないことをいってベッドから飛び降り彼の足に体を擦りつけてくる。
「わかりました、ごはんを準備しますから待っていてください」
カリカリの入った皿を床に置くと、誰かに食べられる前に全部食ってしまえといわんばかりのスピードでガツガツ食い始めた。その姿はまったくもって寒そうにはみえない。
彼はちゃぶ台にノートPCを開き座布団に座った。今日行われた読書会のレポートを書くためだ。
しばらくカタカタと書き進めていると、ごはんを食べ終えた先生が胡座を掻いた彼の足に飛び乗り、彼を座布団として使う。
「ザブトン、なにをさっきから書いている?」
「今日あった読書会のレポートです」
PCの画面を覗きこむ先生は彼の生み出した文章を目で追っていた。すこし緊張もするが前の一件もあり多少の心構えはできている。
「ふむ、なかなか良く書けているな」
「本当ですか?」
「わたしは嘘などつかん」
「ありがとうございます! あ、そういえば……」
久しぶりに先生から誉められた彼は嬉しくなり、近くに置いてあったリュックを引っ張り、なかをごそごそと探す。
「どうかしたのか?」
「先生にプレゼントがあったんですよ」
「マタタビか!?」
「違います」
「違うのか……」
リュックからそれを見つけ出し先生にみせる。それは読書会で作ったオリジナルの栞だった。
「ふむ、栞だな。また作ったのか」
「はい、今回はグレートアップしてますよ。先生が読書をしているイラストも描いてもらいました」
「ふむふむ、なかなか凛々しく描けている。自分のイラストを描いてもらうというのもよいものだな」
栞には満開の桜の下で読書をしている先生の姿が描かれていた。年も明け、これから春となりゆくこの季節にはぴったりなイラストだ。イラストやデザインなど、業者に頼むことなくすべて会員の力でここまでのクオリティーに仕上げられたことを、彼自身はなにもしていないのにも関わらず誇りに思っていた。先生もどこか嬉しそうに栞をしげしげと見詰めている。
「気に入ってもらえたようでなによりです」
「ザブトンよ」
「はい?」
「気に入りはしたが、わたしはそもそも栞を使わない」
「えっ!?」
そういえば使っているところをみたことがなかった。先ほどまで先生が読んでいた小説もベッドの上で開きっぱなしだ。
「わたしは一度読み始めたら、読み終わるまで閉じることがないからな」
「なんと、読書家必須アイテムを読書家過ぎる先生はもはや使わないなんて……盲点でした」
驚愕している彼を先生は下から見上げる。
「それとだ、ザブトン」
「な、なんでしょうか?」さらにこれ以上あるのかと彼は身を固めた。
「出演料はどうなっている?」
「出演料?」
「ギャラだ」
「ギャラ……取るんですか?」
「もちろんだ、わたしにも肖像権はある」
「しかし……」
「今や国民的となった白犬のお父さんをみてみろ、あれもギャラがでるから出演許可が下りているのだ」
「……た、確かに」
これはもうすこし押せばいけると、先生はニヤリと笑い舌なめずりをしていたのだが、もしかしてこれも冗談なのかな? と、淡い期待を抱いていた彼はそれを見逃してしまうのであった。
翌日いつもの5倍は高い高級カリカリを先生に捧げることになるのだが、それはまた別の話である。
了
小説が好き!の会 【小説に限定した読書会】
小説について話したい、でも周りに小説について話せる人がいない。うまく話せる自信がない、それでも好きな小説について話したい。 そんな人たちのためのくつろぎの場所、それが「小説が好き!の会」です。 小説というのは音楽や映画と違って共有することが難しいかもしれません。だからこそゆっくりと時間をかけて、好きな小説を読んで感じた何かを、少しだけ誰かに話してみませんか? 誰かの感じた何かに触れてみませんか?
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