[ 桜咲く 散るチル満ちる 花筏 ] コウイチ
川沿いの桜並木。まだすこし冷たい風に、ひらひらと舞い散る小さな花弁。身体も足取りも軽くなったぼくは、色付く季節を見上げてまったりと歩く。花びらの行く先を見届けようと、せせらぎに目を向ける。流されまいと健気に身を寄せ集まるその姿は、ぼくの心を穏やかにしてくれる。
そういえば、今回が平成最後の読書会となりましたね。まったく意識していなかったけれど。万葉集を持ってくる人もいなかったけれど。
ということで、「第17回、小説好きのための読書会!」無事開催できました!わーい、わい!
どうも、相も変わらずレポート係のコウイチです!
4・14渋谷、14時からの開催に、29名もの読書家の方々に参加して頂きました。
今回は、「小説が好き!の会」のホームとして定着していた秋葉原の「BOOKS」さんが、長期休業となってしまい、新たな会場探しにだいぶ苦労したようです(主催のダイチさんが……)。
「BOOKS」さんほどの素敵空間などそうそうあるはずもなく、四方手を尽くし見つけ出したのが、渋谷駅から徒歩2分ほどの場所にある、コワーキングスペース「POINT EDGE」さん。「BOOKS」さんにも負けず劣らず素敵な空間でした!よく見つけたなぁこんなとこ……。
初めて使用するということもあり、運営側がすこしバタついてしまいました。初参加の方も多かっただけに、不馴れな対応で申し訳ありませんでした。だけど、当会の雰囲気はなんとなく感じて頂けたのではないでしょうか。
今回はいわゆる通常会。5~6人のグループに分かれて、好きな小説をグループ内で紹介し合う形式での開催でした。
主催であるダイチさんの挨拶ののち、各グループで自己紹介をしてから読書会は始まります。自己紹介では毎回テーマを決めてお話をするのですが、今回は「日常でのほっとする瞬間」というものでした。
誰しもそういう時間って大切ですよね。仕事や生活のなかでの疲れも、ふと訪れるまったりとしたひとときに癒されているのではないでしょうか。冒頭の一句も、そんな瞬間の一幕ですかね、たぶん。皆さまのほっとする瞬間、チルれるひとときは、思い思いのものがありました。ほくもそんなかけがえのない時間を思いだしつつ、もう一句。
[ 朝焼けの珈琲 夕空と煙草 ] コウイチ
コーヒーが好きなぼくは、朝起きるといつもコーヒーを飲みます(インスタントですが)。カーテンの隙間から覗く始まりの空を眺めながら、ほろ苦い刺激で寝ぼけ眼を覚ますのです。そしてぼくは、もうすぐ絶滅するといわれている愛煙家でもあります。仕事終わりに吸う一本のタバコの時間が、1日の終わりを告げるほっとするひとときなのです。
余談ですが、無季俳句と思っていたら、「朝焼け」は夏の季語だそうです。季節を先取りしちゃいました(笑)
まあ、素人がなんとなく作ったやつなので、そこはご愛嬌ということで。
さてさて、本題の読書会に移りましょう。
毎回のことながら、幅広いジャンルの小説が紹介されました。紹介された小説の一覧は『第17回小説が好き!の会で紹介された小説たち』のページをご覧ください。
積ん読本、山のごとしなぼくですが、紹介される小説がすごく面白そうでいつもワクワクしてしまいます。ぼくが読んだことのある小説を紹介していた人とは、ネタバレを気にせず盛り上がれますし、読んでみたいと思っていた小説を紹介していた人には、その場で気になっていたことを聞くこともできます。
初めましての方であっても、小説の話で一度盛り上がれば、なんだかもう友達になった気分です。基本的には人見知りなぼくがいうのだから間違いないです。
読書会にはいろんな人が集まります。好きなジャンルもバラバラな人たちが、30人ほども集まるのです。これだけいれば自分の「好き」が被る人も絶対にいて、「好き」を語り合えるってのはとてつもなく楽しいものです。
もし仮に、同じグループに話が合う人が居なかった……、なんてことがあってもまだ大丈夫! グループを替えてもう一度、小説を紹介し合うので!
二回目のグループでは、一回目とは違う小説を紹介してもいいし、メンバーが違うので、同じ小説を改めて紹介してもいい。とにかく好きなものを好きなだけ話す!というのが当会のコンセプトの一つなので、普段はいえない深い話を存分に語り尽くしてください。
グループ内での紹介が終わると、全体でのシェアの時間を取っています。他のグループでどんな小説が紹介されたのかなど、気になることはありますからね。そこで気になる小説を見つけたら、思いきって紹介した人に話しかけてみるのもありですね。もしくは二次会で声を掛けるのもいいかもしれません。
そう、この会は希望者を募っての二次会があります!
近くの居酒屋で二時間程度、お酒を楽しみながら小説の話に花を咲かせます。ありがたいことに、最近では読書会に参加した8~9割の方が、この二次会までご参加頂けますね。
ここまでくると、紹介した小説の話だけでは収まらず、自分の読書歴を総動員して語りに語りまくり、自分はこんなにお喋りな性格だったかな?と思ってしまうほどです。たぶん読書をしない友達にあれだけ熱く語ってしまうと、ドン引きされるでしょうね(笑)
普段は、小説の話をしても一人なぼくも、大勢の仲間に囲まれて楽しいひとときを味わいました。読書会でしか味わえないこの喜び、皆さま堪能して頂けたでしょうか?ご満足頂けたのであれば幸いです。
今回も最後まで楽しい1日でした。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございます。今回はあまり話せなかった人や、まだまだ話足りなかったこともあるけれど、またいつの日か存分に語らいましょう。
最後に一句。
[ なんだかんだ米こそが至高 ] コウイチ (自由律俳句)
ここからはレポート係コウイチによる小説コーナーです。
今回はいろいろとアレな事情があったりなかったりしているので、超ショートショートを一つ載せておきます。
『最も注目をあつめるにわとり』
夕方の散歩中、道端に落ちている雑誌に目がとまった。
『いま最も注目をあつめるにわとり!』
羽を大きく広げ、躍動しているにわとりの写真とともに、そんなキャッチコピーが表紙を踊っている。
記事にはこう、
『このにわとりは歌を歌いダンスを踊り、そのパフォーマンスで多くの人々を笑顔にする。まさしく幸せのにわとりだ』
この記事を読んだものは「凄いにわとりがいるものだ」と驚くに違いない。
私はその続きを読むことをやめ、家路を急いだ。もうすぐ店を開ける時間になってしまう。最近繁盛している焼き鳥居酒屋が私の住まう家なのだった。
「多くの人々を笑顔にする、かぁ」ため息とともに一人言をつぶやく。
こいつを書いた記者はポジティブな捉え方をする能天気なやつだ。その光景を想像するだけで、私は全身に鳥肌が立つというのに。
あれはパフォーマンスなどではない。
人々からの注目を失えば、私はたちまち焼き鳥にされてしまうだろう。
了
小説が好き!の会 【小説に限定した読書会】
小説について話したい、でも周りに小説について話せる人がいない。うまく話せる自信がない、それでも好きな小説について話したい。 そんな人たちのためのくつろぎの場所、それが「小説が好き!の会」です。 小説というのは音楽や映画と違って共有することが難しいかもしれません。だからこそゆっくりと時間をかけて、好きな小説を読んで感じた何かを、少しだけ誰かに話してみませんか? 誰かの感じた何かに触れてみませんか?
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