寒い寒いと思っていたら、本格的に冬がきましたね。南国育ちのぼくとしては、東京の寒さは厳しいです。早く春よ来てくれ! と、願わずにはいられません。春の訪れを報せてくれる鳥といえば、昔からウグイスが定番でした。「ホーホケキョ」という鳴き声を聞くと、春が来たなぁって思いますよね。東京だとあまり聞かないのかな? 昔の和歌なんかでもよくウグイスは春をテーマにした歌によく出できます。あの特徴的な鳴き声は、昔の人の心も鷲掴みにしていたようですね。だっていまのぼくが聞いても、「趣あるわぁ」「いとあはれだわぁ」って思いますもん。
じゃあ、あのいとあはれなウグイスは冬の間はどこにいるのか。昔の人たちは「ウグイスは巣のある谷にこもり越冬しているんだ」と信じられていたみたいです。鶯谷ってそこからきてるんですかね? 気になる方は調べてみてください(笑)
ってなわけで、第二回漫画が好きのための読書会+SF小説が好きの会(課題本「三体」劉慈欣)無事開催できました!!
まずは第二回となる漫画会です。第一回は8月に開催されたので、約3ヶ月ぶりとなる開催でした。前回ぼくは参加できなかったので、個人的には初参加の漫画会です。
11月24日、14時から、場所は新宿「KICHI」さん。11月1日に行われた平日夜の会でも使用させて頂いた会場です。新宿駅から徒歩1分という好立地なのですが、前回同様にスケッチブックを持って参加者誘導をするぼくとしては、人通りが多くて恥ずかしかったです。
参加人数は16人、うちの読書会自体が初参加という方も数名いらっしゃって、漫画会ならではの顔ぶれになったのではないかと思います。
いつものように自己紹介からスタート。今回のトークテーマは冬にやってみたいこと。寒い季節だからやりたくなることって、皆さまあるかと思います。年末年始で仕事がお休みになったりもしますからね、普段できないことをできそうです。ぼくは毎年冬になると温泉に行きたくなります。まあ、わりと年中行ってるんですけど、寒いといつもに増して温泉が気持ちよく感じれるんですよねぇ。
さて、読書会の形式なのですが、普段の小説会であれば、グループ分けをして一人ひとり紹介するという形をとっています。しかし漫画会はすこしやり方を変えてみました。持ってきた漫画を最初にみせあい、話を聞きたい漫画を全員で指差して、一番注目を集めた漫画から紹介する、という前衛的な手法です。
いつ自分の順番が回ってくるかわからないというドキドキと、気になる漫画の話しが聞けるかもというワクワクがあり、とても楽しかったです。
紹介された漫画は様々で、誰もが知ってる名作や、ドラマ化アニメ化をした人気作、いま人気急上昇中の話題作、はたまた知名度こそ低いが面白い隠れた傑作などなど。誰ひとりとして作品が被ることなく紹介されました。
小説の会でも毎回思い知らされるのですが、自分が思っていたより全然読めていないなぁと痛感らせられました。有名なタイトルも多く紹介されているのに、ぼく個人でいうとほとんどが未読の漫画でした。
紹介する側も、超人気の話題作だからほとんどの人が読んでいるだろうと、持ってきているのに、読んでいる人が思っていたよりずっとすくなくて驚く、という場面もありましたね。この驚きは小説以上のものがあるのではないでしょうか。
好きなだけ漫画の話をして、読みたい漫画がたくさん増えて、もうどうしたらいいのでしょう。好きな漫画や小説を読むだけの仕事ってどこかにないでしょうか? それくらいしないと積ん読が減る気がしません(笑)
今後も漫画会は定期的にするようです。主催のダイチさんも、3ヶ月に一回ぐらいのペースでやりたいといっていたので、今回参加できなかった皆さまは、Twitterなどで開催告知をチェックしてみてください!
続きまして、SF小説読書会です。
これまでジャンル別読書会として、エンタメ小説や青春小説、海外小説など、いくつか読書会をしてきました。次はなにでやろうかと、話をしていたところSF小説なんてどうだろう? という提案が出たのは半年以上も前だった気がします。
前々から言われていたSF読書会。ではなぜ今ごろになるまで開催が遅れたのかというと、SFという底知れないジャンルに、運営側が尻込みしてしまっていたというのは、否定しきれないかと(笑)
しかしそんな不安を打ち破るにたる衝撃のSF小説が出版されてしまい、もうこれはやるしかないということで、SF小説読書会を開催する運びとなりました。
その小説こそ今回のメインで、課題本としても設定しました。中国国内で累計2100万部を売上げ、中国の文学史を大きく揺るがした大作「三体」(劉慈欣)です。それまでの中国での文学と言えば純文学が主流で、SFやファンタジーは子供の読み物という位置付けになっていました。しかし、この「三体」の出現により、中国文学におけるSFの地位は瞬く間に向上し、現在では国をあげてSFに力をいれています。
中国系アメリカ人、ケン・リュウさんが英文に翻訳し出版されると英語圏でも絶大なブームメントをおこし、SFでは最も権威あるとされているヒューゴ賞を、翻訳作品として初めて受賞するなど度々話題になっていました。ついに日本語にも翻訳されるとなると、出版前にすでに重版が決まるという驚くべき現象に。発売されるとわずか一週間で、10刷8.6万部を達成する化け物小説になりました。
もちろんぼくも読んだのですが、まさに化け物級の面白さ。すごくSFです。未読の人はぜひ読んでみてください。ちなみにこちら三部作ということで、2020年には二部目が出版予定らしいですので、まだ間に合います!
あ、読書会の話を忘れていました。「三体」のことはこれくらいにして、読書会に移りましょう。
12月1日14時から、場所は神保町「EDITORY」さん。今回で使用させて頂くのは3回目になるのかな?
参加人数は30人、そのうち「三体」グループは16人。ジャンル別読書会としても課題本設定の読書会としても過去最大の読書会になりました。
課題本はありますが、絶対に読んでこないといけないというわけではなく、SF小説であれば紹介しても良いという読書会なので、当たり前ですが紹介される小説はSF一色に染まりました。ここまでSFだけが集まると壮観ですね。16冊の「三体」が並ぶ姿はむしろ恐怖でした(笑)
運営側の大方の予想では、伊藤計劃祭りになるのではないかといっていたのですが、予想に反し紹介されたのは二人の方だけでした。SFの不朽の名作「ソラリス」が二冊出て被りましたが、その他は見事にバラバラに紹介されました。こういうところもSFの底知れないところですね。
グループ分けをして読書会が始まると自己紹介からです。今回のトークテーマはSFにあやかり「子供のころ不思議に思っていたこと」。大人になると当たり前だけど、あの頃は知らなかった。勘違いしてた、みたいなことってありますよね。
ぼくは実家が農業をやっていて、米を作っていたので、スーパーでお米が売っている意味がわからなかったっていう記憶があります(笑)
自己紹介が終われば小説紹介です。一巡目は普通のジャンル別読書会だったので、それぞれのSF小説を紹介しあいました。有名だから読まなきゃなぁと思っていたものや、説明を聞くとすごく面白そうで読みたくなったもの、なんならそれ積んでるわぁといった小説があり、たまらなく楽しい時間でした。
二順目はグループを変えて、普通のグループと「三体」グループに別れてのトークとなります。ぼくは「三体」グループで、約一時間の時間が設けられたのですが、時間が足りなくなるくらい白熱したトークをすることができました。自分一人では理解しきれなかったところや、読み落としていたところなどを聞けて、ぼく自身より深く物語を楽しめる素晴らしい時間となりました。最初は一時間も話せる話題あるのかな? とか思ってたんですけど、時間もっとあっても良かったですね(笑)
初めて参加された方も多く、二次会での居酒屋でも最後まで楽しい時間を過ごせることができました。
「三体」二部、三部と出版されたあとは、またいろんな話をしてみたいです。
読書会二回分を書いてると長くなっちゃうな… 。一回一回書かないと駄目ですね(笑)
今年もあと1ヶ月を切りました。年末に向けて仕事も忙しくなる方が増えてくるかと思います。ますます寒くなっていくと思いますので、体調などお気をつけて、楽しい読書ライフを楽しみましょう。
次回、小説が好き!の会は今年最後の読書会で、12月15日を予定しております。チケットの販売を開始したところ、わずか5日で売り切れてしまったとか…
しかし、キャンセルも毎回数件ほど出ていますので、再販を狙ってTwitter、peatixなどチェックしてみてください!
それではまたどこかで!
ここからはレポート係コウイチによる小説コーナー、改め、何かしら書くコーナーです。暇潰し程度にお付き合いください。
そうだ、短歌を書こう!
ここ最近、小説のみならず詩集や歌集なんかも読み出して、いよいよ見境が無くなってきた感のある雑食系レポート係、コウイチです。
ずっとレポートのあとに自作小説コーナーを設けていたのですが、毎回書くのしんどい! となり、サボったり、詩を書いてみたりして、前回からしばらくお休みすると宣言してしまいました。
でもやっぱり何かしら書こうと思って、ぐるぐる頭を回していると…。そうだ、短歌を書こう! という結論にいたりました。しばしお付き合いください。
実は読書会の運営メンバーの何人かで、半年ほど前から短歌を一緒に書いていたんですよね。ですので皆さんもこれを機に短歌を書きましょう!(笑)
~そもそも短歌とは~
有名な俳句を答えて! と聞かれると、たぶんほとんどの人が一句ぐらいは答えられるのではないでしょうか?
閑さや岩にしみ入蝉の声 松尾芭蕉
痩蛙まけるな一茶是に有 小林一茶
などなど。
では有名な短歌は? うーん。「百人一首」や「古今和歌集」を小学校で教わったはずなのに、ぼくには一つも思い浮かびませんでした。教養の無さを露呈してますね(照)
では短歌初心者であるぼくの復習もかねて、短歌についてすこし書きたいと思います。
短歌とは、いわゆる「5・7・5・7・7」の音に合わせて言葉を繋げて文章にしているものです。俳句は「一句(いっく)」と数えますが、短歌を数えるときは「一首(いっしゅ)」です。「百人一首」もそうですもんね。前半の「5・7・5」を上の句、後半の「7・7」を下の句といいます。また、最初の「5」を初句、次の「7」を二句と呼び、三句、四句、と続き、最後の「7」を、結句とそれぞれ言います。それを合わせた五句からなるものを短歌と呼ぶんですね。
わずか三十一文字のなかに、目に写る美しい風景や、その人の心情などを織り交ぜ文章にしていきます。ちなみに三十一文字を「みそひともじ」と読むそうです。
俳句には季語を使うというルールがありますが、短歌にはその制限がないので自由度は高いかと思います。音に合わせてと言いましたが、そこはあまり深く考える必要もなく、三十一文字であれば短歌になります。逆に、流れが綺麗であるならば三十一文字から多少ずれても良いかと思います。その技法のことを「句切れ」や「破調」なんていいますが、なんか難しいのでそれほど気にしなくてよいかと。つまりは身構えず気軽に書いてみてください! ということです。
たとえば、
木枯らしを夕げに乗せて台所に立つ母の背中をみる子らは コウイチ
母親ではなく、子供たちに目を向けた歌を作ってみました。「夕げ」というのは「夕飯」のこと。文章からの風景は、夕飯はすでに食卓に並んでいるのに、いまだ台所に立っている母親を見ている子供、といったところでしょうか。
心情にこの歌をつけて詠むと、子育てに家事、日中は仕事、忙しい日々を送っている母親の姿は、子供の目からはどう見えているのかな? みたいな感じです。
「木枯らし」を夕飯に出すというのはもちろん比喩なのですが、この「木枯らし」をどう解釈するかで、歌の印象も変わってくるかと思います。どういう意味に取るかはあなたに任せます(笑)
例文として作った一首ですが、三十一文字でもなければ、音のリズムもそれほど合っていません。でもこれでもいいと思うんですよ。この歌が上手いか下手かなんて聞きませんよ、怖いので。あなたの胸の内にしまっておいてください。
万葉集があるように、遥か昔から短歌は日本人とともにあります(万葉集は正式には和歌ですが…)。かつて短歌(和歌)は人々の生活の一部でした。短歌が詠めないというのは、いまでいうと挨拶もろくにできない、といったレベルだったらしいです。
短歌が上手いということが、一つのステータスとなっていて、短歌一つで自分の有能さをアピールすることもしばしば。「短歌が上手い=仕事ができる」みたいなことになってました。
気になった相手に恋文として短歌を贈ったり、その返事を短歌で返したり。昔はいまのようにメールやLINEなんてものはありませんし、上流階級の人たちとなれば気軽に会うことすらできなかった時代です。相手の人となりを確かめる道具としても短歌が使われていたのですよ。
「顔も見たことないけれど、噂は良く聞くあの人は、いったいどんな人だろう?」と、気になった相手に短歌を贈る。貰った短歌が上手ければ「貴方って素敵な人ね」と、お返しの短歌(返歌)を贈ります。恋の駆け引きを短歌でするなんて、なんだかロマンチックですね。
そういうこともあってか、恋をテーマにした短歌はかなり多いです。「古今和歌集」全二十巻のうち、五巻に渡り恋歌を取り上げているのをみても、その多さに驚きます。ぼくが書くときもわりとよく使うテーマになっていて、小説とか他のジャンルでも恋愛をテーマにしたものは多いですよね。恋をしたことない人なんていないですから、共感しやすいというのもあるかもしれません。
また、四季をテーマにした短歌も多いです(古今和歌集では春夏秋冬合わせて六巻)。季節のはっきりした日本ならではなのでしょうか。これもまた書きやすいので、初めて短歌を書くという方にはおすすめのテーマとなっています。
では例文としてそれぞれをテーマに一首ずつ書いてみます。
花びらをちぎっては捨て問いかけるこの胸の痛みを解く魔法 コウイチ
好き、嫌い、好き、嫌い。花占いやりましたか? 意中の人が自分のことをどう思っているのか、花弁の数だけ問いかける。問いに対する解は、相手の答えなのか、自分の答えなのか。こんな感じですかね。
空冷えて地上を濡らす星のよう幾千粒もの煌めく光 コウイチ
冬といえばイルミネーションですかね。ぼくの最寄りの駅前も、イルミネーションが毎夜輝いています。この歌ではイルミネーションを星に例えてみました。それと、星が夜空一面を覆っていることを「星降り」というので、降るを雨と掛けて「地上を濡らす」と、雨のような言葉も使ってみました。もう星とか雨とかごちゃごちゃなってますね…。
最後に、読書会運営メンバーが作った短歌のなかから、ぼくが好きだったものを厳選して二十首載せたいと思います。匿名での投稿をしているので、ぼくもどれが誰の短歌なのかわかりません。つまり誰か一人の短歌に偏っていたら、ぼくはその人のファンということになります(笑) 自分の書いたものもバレないように幾つか紛れ込ませてみますね。
「小説が好き!の会 歌集」とある読書会サロン(2019年6月~8月) 選者 コウイチ
いくらでもあなたの椅子になりますよ次会うときは必要ない椅子
梅雨入りに 笑う渦巻き 雨上がり 欠けた青葉に てかてか小道
薄め開け カーテン越しに 東雲を 勘づきつつも また目を閉じる
「呆けます」と母に宣言されし夜(よ)の窓から通ふ風ぞすずしき
永遠に上の句だけだった日々たちの最後を看取る結婚前夜
ねえ、ミチコ、昨日も今日も会いに来てる。恋って世界を狭めることね
交差する 踏切の音 蝉の声 この時季だけの セッションを聴いた
茹ですぎたオクラの星がつぶれてる ねえやっぱり今日、会えばよかった
やわらかいたましい運んでいくようにかるがもの子は浅瀬を泳ぐ
めくる手が止まらぬままに 午前二時
夢の中でも読み直してる
日差し避け生きてく 夏の反逆者 冷房の加護 奇跡の息吹
文鳥を食つたかきみは文鳥を食いおわつたかいかに食つたのか
冷房の部屋からはしゃぐ子らを見る
夏から距離をとったのは私
っていうか今
わたしをさびしくしたすべて
マグロの赤身も
ゆるさないから
眠れない夜に君がいたなら 寝ててもいいんだ 側にいるだけで
こらえてる ゆれる車内で 本を読む 見知らぬ君に それいいよねと
黒髪を安っぽい色で殺してさ
君、あの頃を捨てちゃうんだね
後悔はいばらのように巻きついて心を縛る
炎はいずこ
ああ蝉よ鳴けよ夜闇も曙も真昼の光も打ち破り鳴け
錆び朽ちた 軽トラあれも 空蝉か
まばゆきなにか 抜け出たと信ず
以上です。
どうでしたか?
音や風景、心情と、好きだと思った部分ができるだけバラけるように選んだつもりなのですが。
短歌の良し悪しというものは、初心者のぼくにはよくわかりません。でも感じ方って人それぞれ違うものなので、自分が良いと思ったものが、その人にとっての良いものなのだと思います。
誰でも気軽に楽しく作れる短歌、皆さまも試しに一首作ってみてください。みんなで短歌を楽しみましょう!
(いろいろ書きましたが、短歌初心者の個人的な意見なので間違っているかもしれません。あしからず。)
小説が好き!の会 【小説に限定した読書会】
小説について話したい、でも周りに小説について話せる人がいない。うまく話せる自信がない、それでも好きな小説について話したい。 そんな人たちのためのくつろぎの場所、それが「小説が好き!の会」です。 小説というのは音楽や映画と違って共有することが難しいかもしれません。だからこそゆっくりと時間をかけて、好きな小説を読んで感じた何かを、少しだけ誰かに話してみませんか? 誰かの感じた何かに触れてみませんか?
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